映画「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」を観てきました。
国連持続可能な開発会議でのスピーチで有名になった、ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカのドキュメンタリー映画です。
スピーチは、日本語の絵本でも紹介されています。
映画「ムヒカ」あらすじ
映画「ムヒカ」の監督、田部井さんは、2015年に、日本のテレビ番組の取材として、ウルグアイの大統領、ホセ・ムヒカを突撃インタビューをします。
ホセ・ムヒカは、2012年、「国連持続可能な開発会議」でのスピーチで、一躍注目され、日本では
「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」という絵本で、紹介されました。
田部井さんは、最初のインタビューでは、ホセ・ムヒカのことをよく知らなかったようです。
取材を重ねるうちに、父を亡くした貧しい農家の子供だったムヒカが、反政府ゲリラとして活動し、投獄され、大統領になるまでのことを知るようになります。
同時に、ムヒカは、幼いころ近所に住んでいた、日本人移民に花の栽培を教わり、日本の文化にも造詣が深いことがわかります。
田部井さんは、ムヒカ元大統領に、インタビューを重ね、2016年には、来日も果たすことができました。
東京や広島を訪問したムヒカ夫妻は、原爆記念館も訪れました。
来日時は、日本の若者に向けた講演も行い、それが、本映画の映像にも収められています。
「世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」とは
「世界でいちばん貧しい大統領」と言う言葉は、文字通りの意味とは、少し違います。
「大多数の平均的な人々と同じ生活をする」、ということを信条としているホセ・ムヒカは、大統領時代も官邸には住まず、農場で質素な生活を送っていました。
貧しい子供時代、投獄された青年時代を経て、議員になり、大統領になっても、素朴な生活をしていました。
皆と同じ生活をするからこそ、人の気持ちがわかり、貧しい人々を救えるのでしょう。
国連でのスピーチが日本で、絵本になったことも、驚いていたようでした。
自分の思うことを、発言して、それが、世界や遠い国にまで、影響を与えるとは考えていなかったようです。
ホセ・ムヒカの発言は、時に、誤解を生むこともありますが、映画「ムヒカ」は、彼の経歴、生活スタイル、発言に、周囲の人々のインタビューを交えて、ムヒカの考えや思想を表現しています。
ホセ・ムヒカの言葉
この作品で印象に残るのは、やはり、ムヒカの言葉です。
人は、発展するために生まれてきたのではない、幸せになるために生まれてきた。
人生で一番大事なことは、転んでも立ち上がり、再び、歩むことだ。
彼の名言は、他にも沢山あります。
ムヒカは、12年にもわたる辛い獄中生活の中で、自分と向き合いました。
やがて、軍事独裁政権に終止符が打たれ、出所した彼は、議員となり、改革をしていきます。
貧困層を助ける政策を実行し、ウルグアイは、経済成長を遂げました。
もちろん、彼の政策をよしとしない、国民もいます。
政策には、賛否両論ありますが、ホセ・ムヒカの言動には、突き詰めて考えた末の、彼の信念が表れています。
彼の発言は、以下のような問題を提議します。
物質的なものだけを求め、心の豊かさを失った今の社会。
物を買うために、身を粉にして働くけれど、家族や友人と過ごす時間もない。
発展することだけが大切になり、何が幸せなのか忘れてしまう。
欧米化に飲み込まれてしまった、日本のような国の問題。
ムヒカ元大統領は、考えをストレートに言葉にし、それを聞いた人々に、
人の意見に耳を傾けつつも、自分の力で考えてほしい、と訴えます。
議員である夫人も投獄されていたため、結婚したときは、子供を持てる年齢ではありませんでした。
ムヒカ夫妻は、自分の子供を持てませんでしたが、子供たちを助けたいと思って活動しています。
来日の際、広島の原爆記念館訪問し、ショックを受けた表情をしていました。
起きてしまった悲劇を受け止め、他者を思いやる気持ちが、彼らの活動の源になっています。
映画「ムヒカ」まとめ
映画「ムヒカ」では、ホセ・ムヒカ元大統領の壮絶な人生が語られています。
訪日のときのエピソードや、日本人との関係性など、独自の取材もされています。
しかし、一番聞いてほしいのは、ホセ・ムヒカ自身の言葉です。
こころに刺さる彼の言葉を聞いて、自分と向きあい、人生の歩みに役立てたいものです。
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